飼育法

昔からグッピーは入門魚として紹介されていますが、皆さんは上手に育てることが出来ていますか?
しっかり勉強してるつもりでも意外にうまくいかない人が多いようです。飼育方法というのは、人まねだけではうまくいかないことが多く、最終的には独自の飼育スタイルを確立することになるのではと思います。ここでは、私の飼育方法を紹介しながら、基本的なポイントや注意点を出来る限り解りやすく解説することに努めました。皆さんの飼育方法の確立に役立てていただければ幸いです。

    1.水槽      2.必要な器具      3.グッピーを選ぶ
    4.グッピーを迎える      5.グッピーの楽しみ方       6.水温
    7.水質      8.水換え      9.餌
    10.ペアリング      11.稚魚を育てる     12.大きく育てる
    13.病気と塩      14.選別と淘汰     15.近親交配

※グッピーエイズに関する考察

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1.水槽
 
 当園の温室では30cmと40cmの水槽が中心になっていますが、どのくらいがベストかと聞かれると答えに詰まってしまう。いままでに、15cm〜180cmまでいろんな水槽でグッピーを飼育しましたが、無理!というのはありませんでした。それぞれに長所と短所がありますが、取り合えずは飼えます。

 
 まず、30cm以下ぐらいの小さな水槽のメリットは、なんと言っても手軽さである。場所もとらないし、半分ぐらい水を抜けば移動も可能で、2,3ペアを泳がすにはこのくらいが丁度である。デメリットとしては、たくさん収容することが出来ないことと、水質の変化が大きく維持が難しいことで、グッピーは多産であり、仔を採りたい場合は小型水槽1本ではかなり厳しいので、たくさん構える必要があります。飼育難易度から考えても中級以上の人向きではないだろうか。
 
 次に60cmを超えるような大型水槽の場合、水量が豊富で一度安定してしまえば長期にわたって水質を維持することができます。90cm以上になると、水草水槽としても立派な物の創作が可能で、そこにグッピーを群泳させたりするとかなり満足できるのではないだろうか。ただ、大きな水槽をグッピーで埋めるにはかなりの数が必要で、人によって好みは違いますが、私の場合90cmだと最低でも50匹ぐらいは欲しいところです。あと、お値段もそれなりに高いのと、一度設置するとよほどのことが無い限り動かす気になりません。
 
 最も使い易いのはやっぱり60cm標準水槽ということになるのかな。うちには2本しかないけど・・・。最大のメリットは安いことと、周辺器具が充実していること。水槽単体なら2000円はしないし、セットで買えばほとんどの器具は揃ってしまう。水量も50〜60リットルぐらいで扱い易く、フィルターもどのタイプでも大抵大丈夫で、 ベアタンクでも水草水槽でも幅広く使えます。
 
 結果的には、どの水槽を使うかは自分の目指している飼育スタイルを考慮して、長所と短所を理解して選べば、どの水槽でも特に問題はないということですね。



2.必要な器具

  水槽が準備できたら、あと最低限必要なのは、フィルター、ヒーター、網、プラケース、照明、清掃道具、水温計ぐらいでしょうか?たくさんあるに越したことはないと思いますが、取り合えずこれくらいあれば何とかなる気がします。
 最も重要なものとしてフィルターが挙げられますが、いろんなタイプがあるので少し特徴などを紹介しておきます。

 現在グッピー飼育に最も良く使われているのは、多分スポンジフィルターだと思われます。大変安価で、壊れることもまず無いし、メンテもたまにスポンジを絞る程度で良い。ろ過能力も60cm以下ぐらいまでなら問題ありません。でも私は使わない。なぜかというと、スポンジをはずす時、はめる時に汚れが水に溶け出すのと、スポンジの下に汚れが溜まるのが個人的に嫌だからだ。まあ、これは好みの問題で、実際は優秀なフィルターだと思います。

 スポンジフィルターと同様に、安価でまず故障がないのが、底面フィルターです。当温室では、60cm以外はすべてこのフィルターを使っています。底砂自体がろ材になっているので、定期的によごれを吸い出してやらないといけませんが、これは水換えのときに水といっしょに吸い出してやれば、あとは特にすることは無い。小まめな部分換水で水質を維持している私にはピッタリです。たま〜に丸洗いは必要。

 
 60cmの水槽セットに必ずと言っていいほど付いてくるのが上部フィルターですが、何気に良いフィルターだったりします。文字通り上に置くのでメンテがやり易いのと、汲み上げられた水が常に空気に触れるので、酸素供給が多くバクテリアが繁殖し易いためろ過能力に優れています。収容数が少ない場合は、特に酸素供給をしなくても大丈夫です。稚魚がいる場合は、吸い込まれないように注意が必要しましょう。
 
 外部式フィルターは、その機密性の高さで水中の二酸化炭素を逃がさない為、主に水草水槽に使われます。グッピー水槽にも使えますが、酸素供給が必須であることと、やや高価でメンテが面倒くさいのが難点。あと、基本的にサイフォンを利用して水を循環させるので設置場所にも考慮が必要。


 他には、小型水槽向きの投げ込み式や水槽に掛けるタイプがあります。スポンジ、底面、投げ込み式はエアポンプも必要です。



3.グッピーを選ぶ

 よく受ける質問に、「どの品種が飼育し易いですか?」とか「オススメの品種は?」などがあります。気持ちはわかるのですが、これにお答えするのは大変難しいです。本来、グッピーは適切な飼育環境であればどの品種も普通に飼えます。逆に、劣悪な環境ではどの品種も育成できません。遺伝的に飼育しづらい系統はあるかもしれませんが、これを特定するのはかなり無理があります。そういうわけで、先ずは自分の飼いたい物を素直に選びましょう。

 
次に、実際購入する時に気をつける事は、体調の悪いものを選ばないことです。当たり前のことですが、最も重要なことなので慎重に選ばなくてはいけません。あなたのこれからのグッピーライフを左右する重大な選択です。
 通販の場合は、選択の余地はありませんが、お店で購入する場合は慎重に選ぶことができます。まず、可能であれば入荷後1週間〜2週間経っているものがベストです。

 よく、外産は病気を持っていて直ぐに死んでしまうと言われますが、これは当然のことで、長い時間を掛けて輸送されてきて、問屋やお店を回り、販売水槽に入っているわけですから、既に身も心もボロボロのはずです。こんな状態で買っていっても死んでしまうのは目に見えています。これは、国産にも同じことが言えます。一定のメンテ期間を経過していれば国産でも外産でもそんなにかわりません。
 見た目の判断としては、難しく考える必要はないのですが、各ひれをピン!っと張って元気に泳いでいれば問題ないでしょう。ひれを畳んでいるもの、くねくね泳ぐもの、異物が付着しているもの、明らかに調子が悪そうなものは除外してください。出来れば、そういうグッピーが泳いでいる水槽のものは全部やめておいた方が無難です。

 通販の場合は、はっきり言って買ってみないと解りませんが、温室から直送のところが多いので比較的安心ですが、中には高いだけでひ弱なグッピーを送ってくる専門店もありますので注意しましよう。まあ、大抵はどこも良心的ですよ。


4.グッピーを迎える

 グッピーを迎えるにあたって、絶対にやめて欲しいことが一つあります。それは、新しく迎えたグッピーを先住のグッピーと同じ水槽に入れることです。何年も前から、グッピーエイズなるものが猛威を振るっています。詳しい原因はよく解らないらしいのですが、俗に、ウィルスに感染しているグッピーと感染していないグッピーを混泳させると、感染していない方が発病し、根治は無理で飛水からでも感染するというものです。一部では、現在流通しているグッピーは外産、国産を問わず、ほとんどがウィルスキャリアーと言われているようです。
 上記の説明は、一般的に言われていることですが、発症や感染の仕方には疑問なところもあり、真相ははっきりしないように思います。症状としては、だんだんひれを畳んできて、くねくね泳ぎ、衰弱し、死に至ります。稚魚のハリ病もこれの一種の症状と推測できます。詳しくは「病気と塩」のところで説明しま
すが、混泳がひとつの原因になっていることは確かなようなので避けた方が無難でしょう。どうしても混泳させる場合は、一定期間別々で飼育し、十分なトリートメントをしたうえで行えば、結構大丈夫なことも多いです。
 
 実際にグッピーを水槽に移す時にはどのようにすればいいのでしょうか?
私は、たま〜にですが、水槽に蛇口から水道水を注ぎ、あとはな〜んにもせずに翌日そこへハネたグッピーを放り込むことがあります。なんて乱暴なと思われるかもしれませんが、これで調子を崩したグッピーは今までに1匹もおりません。調子の良いグッピーはそれくらい丈夫なものですが、新しい環境に無理やりつれてこられたグッピーはそうはいきません。

 一般的には水合わせをする必要があります。水質に少しづつ慣らすのが目的ですから、まずは袋ごと水に浮かべ温度を合わせ、水温が同じになったら水槽の水を足していきます。私の場合、プラケースに移しエアチューブの先にコックを付けて水槽の水をポタポタ1時間くらいけて落としていくか、20,30分おきに、ある程度の量を足していくかのどちらかです。いずれも水槽の水が7〜8割くらいになるまで続けます。その後、水槽に放します。
 準備する水槽については、新しくセットして1週間くらい回したものが良いと思いますが、グッピーが元気であれば前日のセットでも大丈夫ですし、弱っていたらいくら回してても無理なような気もします。水質の調整にアクアセイフや0.5%の濃度の塩を入れるのも効果があると思います。



5.グッピーの楽しみ方


 ここで言う楽しみ方とは、どういったスタイルでグッピーを飼うかについて考えてみます。飼育スタイルによって、品種の種類、数、水槽の大きさ、数、器具など違いがでてくるからです。
 グッピーを飼う人の大半は、「繁殖させたい!」という思いがあるものですが、グッピーは多産である為、無計画な繁殖は大抵困った事態を引き起こすものです。まずは、グッピーの生態をしっかりと理解しておく必要があります。

 グッピーの繁殖周期は、20〜30日ぐらいが普通で、一度に概ね30〜100匹ぐらい産仔します。早いものは生後2ヶ月ぐらいで繁殖可能となり、生涯で6〜7回ぐらいの産仔は可能でしょうが、普通は3〜4回ぐらいでしょうか?
 今、あなたが1ペア飼い始めたとして、順調に繁殖させていった場合、一度に平均50匹産仔すると仮定すると、4〜5月後には稚魚の数は200匹になります。実際は最初の仔はすでに成熟し繁殖するので、数はもっと多いはずです。1年後にはこの数百匹が繁殖しているわけですから、グッピーの数は想像を絶する数になっているはずです。これがグッピーがミリオンフィッシュと呼ばれる所以です。
このことを念頭において飼育スタイルを考えてみましょう。

(ア)1本の水槽で他の魚と混泳させる

 熱帯魚を始めた頃などに、誰もが一度はやると思いますが、基本的にグッピーは混泳には向かない魚だと思います。オトシンやコリドラスのように壁や底にはいつくばっているものは問題ないことが多いですが、水中を泳ぎ回るものは大抵グッピーのひれをかじってしまいます。稚魚に至っては食べられることが多く、この環境でグッピーが爆発的に増えることは滅多にありません。ただし、生き残った稚魚もお店で売ってるような立派な個体に成長することは難しく、代を重ねていくと弱小化していく危険性があります。

(イ)1本の水槽でグッピーだけを飼育する

 この場合、(ア)の時と違い、ある程度大きくなった個体は攻撃を受けることはあまりありませんが、稚魚はやっぱり食べられます。救済措置としては、水草を密に植えるか、産卵箱に収容してある程度の大きさまで育てることも考えられます。ただ、増え過ぎると飼えなくなりますので、そのまま放置して自然淘汰させて生き残った稚魚だけ育てるのも一つの方法です。ただし、複数の品種をいっしょに入れると雑種ばっかりになってしまい、収集がつかなくなるので、1つの品種だけにしておいた方がいいでしょう。
 

(ウ)複数の水槽を使って1品種を飼育する

 お気に入りの品種を中心に飼うことは、ある意味熱帯魚飼育の黄道でもっとも自然な飼い方だと言えます。1品種を飼い込むことは結構意義のあることで、グッピーは同じ品種でも系統が違えば表現はかなり変わってしまうし、同じ親から生まれた仔でも違いがあります。1つの品種、系統を何世代が飼育して、その特徴を掴むことはとても大事なことです。
生まれた仔から次世代の親魚を選ぶために、稚魚をしっかり育てあげのも大切です。どのくらいの水槽が必要かは断定できませんが、多い方が便利ではあります。最低でも、親魚、成魚、稚魚(幼魚)♂、♀の4本ぐらいは必要でしょう。次世代を意識する場合は、♂♀をしっかり別飼育にして、計画的なペアリングをするのも重要なことです。


(エ)多品種を飼育する 

 1本の水槽で複数の品種を飼うことも出来ないことはありませんが、基本的には品種ごとにわけて飼育したい。当然水槽の数は大幅に増えることになる。しかしながら、水槽を増やすといのは飼育者にとっては大きな負担となります。水槽や設備を揃える資金、設置場所、日々の世話、etc...。たくさんのグッピー水槽に囲まれた生活は楽しいものですが、無理をするとしんどいだけで楽しくなくなってしまうので、十分に考えてから実行しましょう。多品種を飼育、維持できる設備と技術が揃えば、グッピーの真髄である、品種の追求やオリジナル品種の創作なども可能になります。

(オ)水草水槽で泳がす

 やっぱり魚は水草水槽で泳がすのが一番いいですよね。グッピーのような小さい魚は小型水槽でも十分に綺麗な水草水槽が作れますが、管理のし易さなどを考えると60cm以上の方が難しくないようです。増えたグッピーの♂だけを水草水槽に群栄させたりするのも贅沢でいいです。ただし、大きすぎると相当の数を入れないと格好がつかないのでほどほどに・・・。

(カ)ブリーダー風、夢の温室設備

 雑誌にでてくるような、
空調が完備され、アングル台に何十本、何百本という水槽をズラっと並べた温室。まあ、最初に設備投資にかなり資金が必要になりますが、作ってしまえば意外と維持費は安いものです。水槽の数が増えて一番困るのは、ヒーターにかかる電気代である。100Wのヒーターを何十本も使うと物凄い電気代になるはずである。エアコンで部屋ごと暖めると結構安いんですよね。アングル台もそんなに高くないです。お金とヤル気のある方は是非チャレンジしてみてください。

(キ)コンテストを目指す

 
私はコンテストにはほとんど行った事がないのですが、より良いグッピーを創作しようとする場合、コンテストで得られる情報などはかなり役にたつのではないだろうか。聞くところによると、他の人たちとの交流もかなり楽しく、収穫もあるらしい。
 私の住んでるところは田舎なので、コンテスト会場と呼ばれるところは遠いので出かける気にはなかなかなれないが、グッピーだけ送っての出品も可能だ。自分のグッピーがどのような評価を受けるかがわかるので、ためしに参加してみるのもいいだろう。多分、楽しいと思うので、どんどん参加してグッピー界を盛り上げて欲しい。ただ、コンテストで評価されることが良いグッピーというわけではないと私は思っている。
 私がコンテストに行かない理由は2つある。まず、1つ目は上に書いたように遠いことと、もう一つは、自分の作ったグッピーが他人に評価されるのは大変うれしいのだが、他人に評価されるグッピーを作りたいとは全く思わないからである。

 より良いグッピーを作るという目的はいっしょだから、やっていることはあまり変わらないかもしれないが、気持ちの問題である。グッピーに限ったことではありませんが、まずは自分が楽しまないと意味がないですからね。

 「グッピーの楽しみ方」としてここに書いてあることも、私個人の意見であって、数ある楽しみ方の一部でしかありません。みなさんも、自分にあった飼育スタイル、楽しみ方を発見して、大いにグッピーを満喫していただきたい。



6.水温

 グッピーが生息できる水温というのは、結構幅があって、15℃〜35℃ぐらいまでなら生きているようです。生存可能な限界を言えばもっと幅はありますが、敢えてそんなことに挑戦するひとはいないですよね・・・。ともしは園の温室は、1年中エアコンで温度管理を行っていますが、概ね22℃〜25℃ぐらいで推移しています。私の考える理想は23℃前後ですが、メーカーから発売されているオートヒーターなどの設定は26℃くらいですから、ちょっと高いように思います。
 水温の高低でどのような影響があるのかというと、高水温では、グッピーの動きは活発になり、餌食いも良くなって早く大きくなると聞いたこともありますが、一番の問題は水温が高すぎると病気が出易くなることです。夏場などで水温が30℃を超えるような環境では注意が必要となります。

 低水温の場合、水温の低下にしたがってグッピーはあまり動かなくなり、餌も食べなくなっていきます。ただ、10℃ぐらいまでは死にはしないようです。一般的に低めでじっくり飼育されたグッピーは仕上がりが良く、良個体が多いようです。はっきりとはわかりませんが・・・・。
 
 概ね20℃〜28℃ぐらいなら問題はないように思いますが、夏場の水温管理は工夫するべきだと思います。方法としては、まめに換水を行うか、水槽用クーラーを付ける、エアコンで部屋ごと冷やすなどですが、換水の場合、大型水槽でなければ毎日やらないと効果はでないでしょうし、クーラーはとても高価ですよね。結局、エアコンをフル回転させるのが最も良いのではないかと思います。最近のエアコンはインバーターだし、電気代は思ったほどかかりません。24時間つけてても1部屋ぐらいなら月に5000円はかからないのでは?


7.水質

   グッピーに適した水質は?いうと、正直私には良くわからない。というのも、グッピーは比較的水質を選ばないと思われます。水質の急変に対してはもろい部分がありますが、徐々に変化する分には結構大丈夫だ。
 水質の目安として、pHや硬度、亜硝酸濃度、アンモニア濃度などがある。亜硝酸やアンモニアについては、低いに越したことはありませんが、全くないとバクテリアが繁殖しないのでそれは困る。
 一般的にグッピーの場合、弱アルカリ(pH7.2〜7.4ぐらい)でやや硬めの水と言われていますが、ろ過が正常に働いていて、定期的に換水をしている水槽なら気にしなくていいように思います。私もpH計なるものを一応持っていますが、1年に1回使うかどうかで、多分無くてもこまらない・・。以前、水草水槽で飼ってるときのpHは6.5ぐらいでしたが、別に問題はありませんでした。8.5ぐらいで飼ったこともあります。けっこう平気?



8.水換え

 換水の周期や、量、やり方などは、はっきり言って人それぞれであって、非常〜にたくさんの方法が存在する。それゆえに、最初の頃はどんな風にすればいいのか悩むし、間違ったことを実践している人も少なくない。たまに、「換水ってどうしてもやらないとダメですか?」と聞かれることがあります。世の中には、換水をせずに水質を維持している人はいないこともありませんが、普通はやらないとダメです。なぜ、換水が必要なのかというところから考えてみましょう。

 水を汚すものは色々ありますが、魚のフンや食べ残しなどは必ず発生します。そこから生ずるアンモニアは毒性が強く、そのままではグッピーは生存できません。これを分解してくれるのがバクテリアで、アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩という感じに分解していきます。硝酸塩は毒性は低いが無害ではないので、蓄積すると有害です。水草は硝酸塩を吸収してくれますが、これに頼るのもいささか不安だし、水草などがなければ換水してこれを除去しなくてはなりません。水質を維持するためには、バクテリアが繁殖できる環境と適度な換水をバランスさせないといけないわけです。

 ともしは園の水槽は、水量が10〜20リットルぐらいの小型水槽が多く、収容数も多い為、換水の周期は4〜7日と早めの間隔です。一度に換える量は2/3程度です。換水のときには、バクテリアも一緒に排出されてしまいますので、あまり間隔が短いとバクテリアの繁殖に支障がでると思われるので、3〜4日の間隔は空けるようにしています。換水に使う水は、水道水を24時間以上エアレーションしたものを使います。カルキ抜きやその他
の調整剤は今のところ使ったことはありません。バクテリアの元も入れたことはありません。この状態で維持し、その水槽にグッピーがいなくなるまで丸洗いはしません。


 換水の周期というのは、結局は魚の状態を見て決めます。まったく同じ条件の水槽でも水質の変化は同じではないからです。基本的には水質が悪くなってくると、グッピーは活発さがなくなったり、餌食いが悪くなったりします。普段からよ〜く観察して、早く適切なな換水周期を見つけることが重要です。



 部分換水と全換水については、どちらが良いとも悪いとも言えないように思いますが、注意点としては、グッピーは多少水が汚れても結構平気なことが多いですが、急激な水質変化には強くありません。丸洗いや1/2以上の部分換水を行う場合は、グッピーの調子が良いときに行うほうが無難です。部分換水を中心にする場合は、底砂に汚れが溜まっていきますので、定期的にこれを吸い出してあげないと、上水だけの換水では水質は維持できなくなっていきます。


 プロブリーダーの中には、毎日換えるという人からほとんど換えないという人まで、ほんとに様々な人達がいます。換水量も1/4くらいという人から必ず丸洗いという人まで全く統一性はありません。グッピーは比較的新しい水を好むので、私は「まめに換える派」ですが、今でも換えるタイミングを変化させたりして試行錯誤を繰り返しています。昔から、一つの例として、「週に1回1/2の部分換水と、月に1回の丸洗い」と言われたりすることがありますが、これで大丈夫なケースも結構あります。あとは、日々よ〜く観察して、水質の変化が何となくでも読み取れるようになったら、自然とタイミングはわかるようになると思います。

 話は変わりますが、一つ例を紹介します。子供が夜店で金魚を2匹掬ってきたので、これを私の母に面倒見させることにしました。母は、魚に関しては完璧なド素人さんなので、60cm標準水槽に底砂と流木、ミクロソリウム、ウィローモスを入れて、水が汚れてきたら、半分水を換えることだけ言い含めておきました。
 最初の頃は毎週換水していたようですが、だんだん水質が安定してきて、最近は2ヶ月に1回ぐらいしか換えていません。餌も毎日与えていたので、金魚はすっかり巨大化しています。このぐらい水が安定すると管理は楽チンチンなのですが、この水槽の凄いところは、エアレーションはもとより、フィルターと呼ばれるものは何も付いていないのです。たまの換水を除けば、100%自然ろ過で成り立っています。魚、水草、バクテリア、etc・・・、生態系のバランスが絶妙なわけです。



9.餌

 餌の種類というのは結構たくさんあって、どれにするか迷う人もいるのではないでしょうか?現在、普通に市販されている餌については、生餌にしろ人口餌にしろ与えてはいけないというものはおそらく無いと思います。各メーカーが研究して開発しているのだから、栄養的には問題ないはずである。大事なのは嗜好性であって、要するにグッピーが好んでよく食べてくれるかどうかということです。その上でより栄養価の高いものがチョイスできれば尚良い。

 給餌というのは、ほとんどの人が毎日行うと思いますが、やり方は人それぞれ違うものです。ただ、毎日行うものであるがゆえに、給餌の仕方がグッピーの成長に与える影響は極めて大きく、私はグッピーの仕上がりに最も違いが出るのはこの給餌の仕方にあると考えています。その為に、グッピーの成長や状況に応じて、より適切に行わなければなりません。
 ともしは園では、餌はブラインシュリンプと粒状の人口餌の2種類のみで、朝夕の2回の給餌です。「意外と普通じゃないか?」と思われるかもしれませんが、これでグッピーは立派に育ちます。よく、1日に5回、6回、7回と、とにかく回数多く餌をやるとか、イトメをたっぷりやらなければダメとか言われるのですが、まあ間違ってはいないと思うので、出来る方はおおいにやっていただいて結構だが、普通の人にはなかなか実行できないはずです。日中、仕事や学校がある人は1日2回が限度だろうし、イトメは高価で保存も手間がかかるし、地域によっては入手すら困難な場合もあります。ある意味、ともしは園の給餌方法は普通の方でも実践可能であるので、是非参考にしていただきたい。

 まず、ブラインシュリンプですが、数ある生餌の中でも抜群の嗜好性とコストパフォーマンスに優れた餌であると思います。沸かすのが面倒くさいとい言う人もいますが、実際に沸いたブラインを取り出して、次の日の分をセットするという手間は慣れてしまえば5分とかからないので、是非与えて欲しい。殻剥きブラインを与えるのもいいのですが、栄養価は高いものの食いつきがあまりよくないように思うので、私は使っていません。食いつきが良くなる方法を知っている方は是非教えていただきたい。
 ブラインは主に稚魚に与えますが、生後3週間ぐらいまではほぼ100%ブラインをお腹がパンパンになるまで与えます。3週間を過ぎると、まず人口餌を食べなくなるまで与えてから同じようにブラインをパンパンになるまで与えます。生後2ヶ月くらいまでは、この方法で行いますが、この次期までで将来がほぼ決まってしまいますので、しっかりと給餌してください。基本的にたくさん食べさせることが重要なのですが、水質が悪化すると食いは悪くなるし、たくさん給餌すればそれだけ水質悪化は進行しますので、よくよく注意が必要です。特に人口餌を与えるときに、食べ残しが出ないようにしなければならないのですが、グッピーは主に水面に浮遊している餌と、落ちて行っている餌を捕食し、既に沈んでしまったものはあまり食べません。特に大磯などを使っている場合は、大磯の隙間に入り込んでしまい食べ残す可能性が高まります。要するに、沈殿しない程度の量を何回も投入する必要があるわけです。よく、餌の容器に10分程度で食べきる量とか書いてあります。あながち間違いでもありませんが、食べ残さないように10分で食べきる量を与えてください。餌を与えている時は、グッピーの調子を見る絶好の機会でもあるので、じっくり観察しながら時間をかけて給餌してください。そうすれば、きっと立派に育ってくれるはずです。
 



10.ペアリング

 グッピーは良く増える魚であるので、単に繁殖させるだけならペアリングにはそれほど気を使う必要はありません。基本的な注意点は、ペアリングに適した月齢(3ヶ月〜4ヶ月が良いが健康なら多少前後しても問題無い)であることと、♂が♀を十分に追いきれる環境であること。あまり、広い水槽に少ないペアだとかかりにくいことがあります。ともしは園では、概ね30cm水槽に2ペアが基本ですが、かかりにくいと思われる品種の場合は♂の数を増やし、たくさん採りたい場合は♀を増やします。新しく1ペアだけ購入した時などは、たまに♀が強すぎて♂がぜんぜん追えないときがあります。私はそういう時には、繁殖出来ないわりにはよく♀を追う、リボンの♂を入れてバランスをとったりすることもあります。まあ、実際は追ってないようでもちゃんと仔が採れることが多いので、ペアリングして2ヶ月ぐらいは様子を見てもいいと思います。
 ♂♀が小さい頃から混泳している水槽では、生後2ヶ月ぐらいからランダムに繁殖が行われますが、♀が成熟していない為、あまり良い結果にはならないことが多いので、できれば生後1ヶ月〜3ヶ月の間は♂♀を分けて飼育することをオススメします。より良い子孫を残すためには、しっかりと育てあげ、その中から自分で良いと思う固体を選んで、ペアリングするのが一番です。



11.稚魚を育てる

 ある程度管理された環境であれば、グッピーは次々と産仔をしていきます。長年グッピーを飼っていても稚魚の誕生は純粋にうれしいものですが、同時にやらなければならないことも増えますので、しっかりと世話をしなければなりません。まず、考えないといけないのは、稚魚を意識して育てあげていくのか、それとも自然の成り行きに任せて、弱肉強食の中で自然淘汰をさせるのかです。全ての稚魚を養育するのであれば、それなりの設備と手間が必要になりますので、それはちょっと・・・という人は特に稚魚を保護しなければそれなりに数は調整されるはずです。増えすぎた場合は自分で調整する必要があります。よく、「自分では淘汰することは出来ない」という人もいますが、そういう人は飼育出来る許容量以上に増やしてはダメです。
ここでは、全ての稚魚を育てあげるという前程で話を進めていきます。


 「生まれた稚魚のうち、どれくらいがちゃんと成魚になりますか?」という質問を受けることがあります。みなさんはどう思うでしょうか?これについてはいろいろな意見がありますが、仕上がり具合などは別にして無事に育つかどうかということであれば、健康に生まれた稚魚の場合はほぼ100%可能です。
 稚魚にとって最初の試練は、親魚をはじめとするその他の魚から逃れることです。仔食いをまったくしない♀もいますが、普通は食べますので、対処しなければなりません。方法としては水草などの逃げ込む場所があるところか、産卵箱で産仔させます。ともしは園では産卵箱を使用しますが、あまり長期に渡り産卵箱に入れるのは控えたいので、なるべく3日以内に産仔するものを入れるようにしています。産仔が近い♀の見極め方ですが、一般的に言われるのは、おしりが黒くなってくるとか、角ばってくる、稚魚の目が見えるなどですが、間違ってはいませんがはっきり言って固体によってまちまちです。私の場合は、ペアリングしてからの日数、もしくは前回の産仔からの日数を記録しておいて、ある程度目処を付けておきます。そして、産仔予定日が近づくと毎日おなかの大きさをじっくり観察します。だいたい産仔の3日ぐらい前から急激に大きくなり、お腹が張ってくるのがわかるようになってきます。それを確認すると片っ端から産卵箱に入れていきます。まあ、実際はこれも個体差がかなりあるんですけどね・・・・。

 無事に生まれた稚魚は、出来る限り稚魚用の水槽に収容したいものです。一般的にはなるべく大きい水槽が良いとされていますが、私はそれほどこだわりません。生まれて間もない稚魚は泳ぐ力もそれほど無いので、生後1週間ぐらいは産卵箱で飼育することが多いです。その後、30cmで1ヶ月〜1.5ヶ月飼育します。一腹分だとおよそ50〜100匹ぐらいです。この次期は、稚魚の将来を決める大切な時期ですから、たっぷり餌を与えます。餌は生後3週目まではほぼブラインのみですが、3週目を過ぎると人口餌を与えます。人口餌を与え始めると水がかなり汚れますので、4日に1回ぐらいの水換えをします。水質悪化はハリ病を引き起こすので注意しなければなりません。よく、産卵箱に入れていると発病すると言われますが、要は水質の問題であって、水がよければ産卵箱でもハリ病にはなりません。

 生後1ヶ月ぐらいから♂♀を隔離するのが普通ですが、私ははこの時にそれぞれ40cm水槽に移します。すると収容数は25〜50匹になりますが、あとはそのまま成魚まで育てます。餌は8割がた人口餌になりますが、♂はだんだんと人口餌を嫌がる傾向にありますので、ブラインが中心の給餌になります。

 ともしは園では、このやり方でほぼ100%育てあげることが出来ていますが、収容数が多すぎるとどうしても成長にバラツキができ、発育不良の仔が出来てしまいます。餌が十分に行き渡っていないのが原因と思われますが、それ以上給餌量が増えると水質が維持できないというジレンマがあって、今後の課題です。でっかい水槽に入れればいいのですが、これがなかなか・・どうして・・・。



12.大きく育てる

 自分のグッピーを大きく育てたいと思っている人は結構たくさんいると思います。ただ、実際にはコンテストに出品されるような巨大なグッピーは普通に育てるだけではなかなか育ちませんし、親魚と同じくらいの大きさにするのも難しいという人もいます。
 グッピーが大きくなるための2つの要因として、先天的な要因と後天的な要因があります。先天的とは、そのグッピーが生まれながらにして持っている素質、つまり遺伝的な資質です。大きさに限らず、より良いグッピーを作るためにはこの遺伝的な要因が極めて重要で、優秀な系統を入手することはとても大切です。大きくならない系統のグッピーは、いくら上手に育てても飛躍的に大きく育つ可能性は極めて低いものです。無j論、選別交配によって少しづつ改善することは可能ですが、時間はかかります。それに対して、元々大きくなる素質をも持っていれば、そこそこに育ててもそこそこ大きくなります。と言うわけで、まずは大きくなる系統を手に入れることが重要となります。その上で、後天的な要因、つまり育て方が必要になるわけです。

 大きく育てるために、なるべく大きな水槽で飼育するということが良く言われます。確かに、その方が大きく育つ傾向にはありますが、それだけで大きくなるなら苦労はしません。ともしは園には、30cm、40cm、45cm、60cmの4種類の飼育水槽がありますが、この中で最も成長が好ましいのは40cm水槽です。この事実ひとつを考えても、大きければ良いというわけではないことがわかります。
誤解して欲しくないのですが、グッピー飼育に40cmが最も適しているということではありません。あくまでも当園の話です。

 私は、大きくするために一番必要なことは、たくさん給餌することだと考えています。単純な話ですが、たくさん食べる魚は大きくなるんです。ただやみくもにあげるのではダメで、確実に食べさせないといけません。そのためには、グッピーの食欲が良くなる環境を作り出すこと、つまり良好な水質を継続的に維持することが大切になります。飼育密度も意外と重要で、少し過密気味の方が競って食べるようになるので食欲は上がるようです。ただし、大量給餌、過密飼育は水を著しく汚すので、そのバランスがとても難しくなります。
私の場合は、40cmが一番バランスをとり易いので、一番良い結果が出るわけです。
 給餌の回数は「9.餌」のところでも触れましたが、回数を多くするのは理想ですが、1日に朝夕の2回でも問題はありません。そのかわり、しっかりと給餌をしてください。特に、生後2ヶ月ぐらいまでは、換水もまめに行い、たっぷりと食べさせないと将来に大きく影響します。

 RRE.Aの個体は、大きくなりにくいというのを聞くことがあるのですが、私はそう感じたことはあまりありません。確かにノーマル体色の個体といっしょに飼育すると育ちに差がでることがあります。なぜかというと、彼らは捕食が下手なのです。厳密には視力が弱いらしく、うまく捕食できないようです。特に、水面に浮いている餌以外はあまり食べない傾向がありますが、水面に浮いている餌は問題ありません。それを頭に入れて給餌をすれば、ノーマル体色と同等に育ちます。ちなみにブラゥ体色のものは、下の方で捕食する個体が多いように思います。それゆえに、食べさすのは大変です。



13.病気と塩

 飼育本などを読んでみると、たいていグッピーは病気にはなりにくい丈夫な魚だと書いてあります。私も大筋ではこの意見に賛成です。実際、導入から2週間以上経過したものや、自家繁殖したものは、水質にさえ気をつけていればまず病気にはかかりません。グッピーの病気としてよく紹介されるのは、尾ぐされ病、マウスファンガス、松かさ病、ハリ病などで、原因はほとんど水質悪化によるものである。グッピーは病気になりにくい反面、一度発症すると結構モロイ気がするので、病気にならにようにきっちり水質管理を心掛けるのがベストです。もし発症した場合は、とにかく早期発見、早期治療が必要で、発見が遅れると手遅れになることが少なくありません。治療方としては、ともしは園では0.5%濃度の塩の投入が基本で、その他の魚病薬は使ったことがありません。水10リットルに対して塩50gが目安で、60cm標準水槽だとおよそ250gです。結構な量ですよ。
 病気が出た時に、換水をするかどうかという問題があります。負担のかかる換水はやらない方が良いという人もいますが、水が原因なのだから換えないと改善しないように思うし、換水に耐えられないほど弱っていると回復は難しい。だから、私は換えます。まあ、とにかく病気にならないように水質を維持していれば特に問題は無いように思う。

 問題なのは、新しく迎えたグッピーで、水に問題はないのに、ひれを閉じ、水面近くをくねくねしながら泳いでいるグッピーである。新しく迎えたグッピーでなくても他系統を混泳させた時に同様の症状がでることがあります。俗に「グッピー病」「グッピーエイズ」などと呼ばれる病気で、水槽投入後1〜3日で発症するケースが多く、早期発見、早期治療ができなければまず助からない。感染力も強烈で、1匹発症すると次の日には水槽の全てのグッピーがやられることもあります。はっきりとした原因は判らないようで、治療法としては水温を22℃以下にし、0.5%濃度の塩を投入すると良いらしい。混泳によって発症する場合、Aという種類のグッピーとBというグッピーを混泳させたら、Bのグッピーは全員発症し、Aのグッピーは1匹も発症しない。ということが起こります。このことから、この病気がウィルス感染によるものだと言われますが、このケースでは、Aのグッピーがウィルスのキャリアーであり、ウィルスに対して免疫のないBのグッピーが発症した、と考えられています。これが正しいのかどうかは解りませんが、混泳が発症の原因のひとつであることは明白で、出来る限り避けるべきである。
 
 発症すると高い確率で死に至るので、予防が最善策である。第一に感染魚を持ち込まないのが一番大事ですが、これは発症していない限りは見分けることができないし、現在流通している国産及び外産グッピーで完全にウィルスフリーの系統が存在するとは思えない。ゆえに、発症させないことに重点をおくべきだと考えます。新しく迎えるグッピーは、いろんな意味で大きなストレス状態にあり、水合わせを軽視すると発症し易くなるので、慎重な水合わせを行いたい。投入予定の水槽には、予め塩を0.5%になるように入れておくのも予防になる。混泳させる場合も塩を入れておいた方が良いと思いますが、それ以前に混泳させるグッピーは十分な飼育期間を経たもので、状態の良いものだけにしておいた方が良い。あと、通販などで、到着時点ですでに尾を閉じているような場合は、直ぐに隔離し治療が必要である。
 発症すると怖い病気ですが、良好な環境では簡単に発症することはないので、きちんとグッピーを飼っていればそれほど恐れるこはないのではないだろうか。



14.選別と淘汰

 グッピーは容易に繁殖できる反面、生まれてくる仔は結構個体差があります。そのため、種親の選択を間違えると、世代を重ねるたびに形質が劣化していく危険性があります。どういう個体を選ぶかは非常に難しい話で、経験を積んでもらうしかない。基本的には自分の気に入った個体を選べばよいのですが、♂に比べると♀の選択はむずかしく、余裕があれば、実際に3種類ぐらい♀を選んで、同じ♂と交配し、それぞれの仔を育ててどのような表現になるか確認してみるとわかりやすい。選別には、どうしても経験が必要となります。
 淘汰については、人それぞれ方法が違うと思いますが、一般的には♂♀を分ける頃から少しづつ淘汰を繰り返していき、ペアリング候補を絞っていきます。ただ、品種によっては成長過程で表現が大きく変化するものもいますので、あまり早期に大量の淘汰を行うのは好ましくないように思います。人によっては淘汰はちょっと出来ないという人も少なくありませんが、全ての稚魚を飼育するのは困難であるので、淘汰を行うか、産仔数、ペアリンングそのものを減らすか、対策は必要になるでしょう。
 いずれにしても、未来のグッピーを決める重要な作業なので、おろそかにせず経験を積んでいってほしい。



15.近親交配

 こんな話を聞いたことがないだろうか?「仔を採ったら、親魚よりぜんぜん綺麗じゃなくて、奇形がでたりするんだよね〜」「ああ〜それはね、血が濃くなってるんだよ、だから他の系統と交配するといいよ」
 血が濃くなった?はたして本当だろうか。哺乳類などでは近親交配をすると体質的に弱い子が生まれるのは当たり前のことですが、グッピーにそれがそっくり当てはまるとは思えない。近親交配の弊害が全くないとは思いませんが、それほど強い影響力もないように思う。世の中には、何十代にも渡って兄弟交配だけで維持されている系統も存在するし、一時的に形質が衰えても、選別交配することによって立て直すこともできる。形質劣化が血が濃くなったのが原因なら、新しい血を導入する以外に方法は無いはずであるが、実際はそうではないのである。一番子、二番子、三番子と同じペアから仔を採り続けると、大抵はだんだん出来が悪くなる。この場合、同じペアであるから血が濃くなることは無いのだが、形質劣化が認められる。なぜかというと、グッピーは産仔の度に仔の数が増える傾向があり、その場合生まれてくる稚魚は小さくなる。けれども、しっかり飼育すれば最終的にはちゃんと育つ。育ちが悪くなるのは、育て方が悪いのだ。
 もし、あなたのグッピーがあまり綺麗に育たなかったら、飼育方法に問題があると思ったほうがいい。奇形がでるのは、♀の健康状態が悪いのだ。(全部奇形が出た場合などは遺伝的に奇形の因子を持っている場合が多い)
 品種の固定率を確保するには、ある程度血を濃くしないと綺麗なグッピーは生まれない。そう考えると、2代や3代近親交配をしたからといって急激に形質劣化するとは考えにくい。だいいち、完全な雑種交配でも奇形が出る時は、やっぱり出るもんね。