ウワサの検証

巷で囁かれているグッピーのいろんなウワサについて、私の独断と偏見で検証してみたいと思います。

検証1、「グッピーは水質に敏感?」
検証2、「なるべく大きな水槽で飼うと大きくなる?」
検証3、「産卵箱で稚魚を飼育するとハリ病になる?」
検証4、「新参者を水槽に入れると病気になる?」
検証5、「塩を入れると病気は治る?」
検証6、「飼育水に必要な添加剤は?」
検証7、「血が濃くなる?」
検証8、「ブルーグラス同士で交配すると形質劣化する?」
検証9、「RRE.A系は3匹に1匹しか繁殖能力がない?」










検証1
「グッピーは水質に敏感?」
 水質というものを何を基準にして表すか?というのは案外難しいものですが、一般的に水質として用いられるのは、主に温度、pH、硬度といったものである。グッピーに適した水質と言われるのは、概ね24℃前後で、pHは7.0〜7.3ぐらいの弱アルカリというものです。ところが、実際に生存可能な水質となるとかなり広い範囲で生存可能で、10℃〜35℃、pH5.0〜9.0ぐらいまでいけそうな気がします。
 ともしは園の水槽は、温度20〜24℃、pHはほとんど計ったことはないので解りませんが、ほぼ水道水の7.0に近いと思います。換水に使う水は、同温室内にて水道水を20時間以上エアレーションをしたもので、おおよそ70〜80%の換水を行います。通常、水槽内ではいろんな生態系の変化や化学反応が繰り返されていて、水質は常に流動し、一定ではありません。水温を例にとると、温室の上と下ではかなりの温度差が生じます。冬季では、換水用の水と下部に設置してある水槽の水では最大4℃の温度差を確認しています。pHに於いても1.0ぐらいの違いは生じます。このまま、70〜80%の水換えを行えば、かなりの水質の変化が起きる訳ですが、ここ数年ずっとそれを敢行していて、特に問題は起きていません。
 新しい水槽へ移動させる時には、新しい水槽へ水道水でジャブジャブ洗った大磯を入れて、カルキを抜いた水を張って、翌日にはグッピーを投入します。その際、水合わせなるものはやりません。網で掬ってそのままドボンです。何も問題はありません。
 思うに、グッピーは水質には鈍感です。ただし、アンモニアなどの毒性の強いものに関しては敏感というよりは受けつけません。水換えをサボって水があまりにも汚れていればあっという間に☆になってしまいますので、注意しましょう。塩分濃度に関しては、浸透圧に大きく作用するので、加塩はそれほど気にしなくてもいいかもしれませんが、減塩は緩やかな方が良いかもしれません。
検証2
「なるべく大きな水槽で飼うと大きくなる?」
 これは、完全に間違いということもないですが、少なくとも正しくはありません。なぜなら、小さい水槽の方がより大きくなるケースがいくらでもあるからです。大きく育てるための絶対条件は、たくさん餌を食べさせることです。大きい水槽に入れるだけでいいのなら誰も苦労しません。グッピーがたくさん餌を食べるには、より良い環境を作り出し、食欲旺盛の状態を維持しなければなりません。俗に、「大きい水槽」「頻繁な水換え」が良いとされるのは、そうすることによってベストな水質を維持し易くなるからです。逆に言えば、良好な水質が維持できて、餌をたくさん食べさすことが出来るのであれば、「小さい水槽」「たまの水換え」でもグッピーは十分に大きくなるということですね。
検証3
「産卵箱で稚魚を飼育するとハリ病になる?」
 これは、ほぼウソだと言っても過言ではないですね。ハリ病が発症するのは水質がかなり悪くなっているからで、産卵箱が直接の原因ではありません。産卵箱は、小さく水の循環も良くはないので、水質が悪化し易いのは確かですけど・・・。
 私は、仔を採る際にはほぼ100%産卵箱を使用します。そして、そのまま1週間〜1ヶ月ぐらい飼育しますが、ハリ病になることなんかまずあり得ません。遊泳能力の低い稚魚の場合は、大きい水槽よりも餌が十分行き渡って、むしろ良い結果がでることもあります。
検証4
「新参者を水槽に入れると病気になる?」
 新しく買ってきたグッピーを元からあるグッピー水槽に入れると、元からいたグッピーがあからさまに調子を崩したり、☆になることがあります。これは、グッピーエイズに大きな関係があるので詳しくは、飼育方法のページの「グッピーエイズに関する考察」を参照していただきたいですが、実際によくある話です。
 一般的には、新しいグッピーがウィルスのキャリアーであることが原因と言われていますので、「グッピーエイズに関する考察」でもそれに準じて説明していますが、最近はそうではないように感じています。つまり、病気が伝染するというニュアンスとは少し違うような気がします。厳密には理由は解りかねますが・・・。とりあえず、安易に多品種などを混泳させるのは止めておいた方がいいのは確かです。
検証5
「塩を入れると病気は治る?」
 病気の時に塩を入れるのは、昔から良く使われる方法で、グッピーに関しては非常に効果があります。特に、グッピーエイズの症状(尾をたたんで、フラフラ泳ぐ)が出たときは、出来るだけ早く0.5%濃度(飼育水10Lに対して塩50g)を投入すれば、早期であればほぼ鎮圧することができます。
 塩の効能としては、浸透圧調節により、魚の負担を軽減し、魚自身の治癒力を高めるのが主な効能で、俗に言われる殺菌効果などはほとんど期待できません。病気の原因として頻繁に登場するカラムナリスは、0.5%濃度の汽水が活動を活発にする好条件であるので、大抵の病気は塩を入れる以前に水換えをするのが最も効果的と言えるでしょう。
 たまに、体をこすりつける現象を見ることがあります。これは、魚自身が体表に違和感を感じているものだと考えられますが、以前この状態になった水槽に塩を投入するとあっという間に症状が悪化して、水槽にいたグッピーが狂ったように体をこすり始めたので、慌ててそのまま100%の水替えを敢行したところ、症状は治まりました。要するに、なんでも塩を入れれば良いという訳ではないということです。
 グッピーエイズの予防、治療に関しては、水が汚れているのが直接の原因ではないので、塩はとても効果的です。というより、これ以外はあまり良い結果が得られません。
検証6
「飼育水に必要な添加剤は?」
 どこで見たか忘れましたが、「グッピーの飼育にはテトラバイタルは必須です」というキャッチコピーを見たことがあります。実際に、有名なブリーダーにもハリ病の予防の為という理由で、飼育水に塩やメチレンブルーなどを使っている方もいますし、発送時に塩や薬品を入れて梱包する方もいますが、結論から言うと何も入れる必要はありません。特に、梱包時に添加されると、受け取ってからそれを抜く作業をしないといけないのではっきり言って迷惑です。逆に言うと、それをしないと無事に届かないような個体を送ってはいけません。
 当方でも、梱包状態での耐久テストをやることがあります。最新のテスト結果では、純粋に水だけの飼育水1.5Lで梱包し、温室内でそのまま放置するテストでは、グッピーが調子を崩し始めたのは梱包から80日目のことでした。ほぼ3ヶ月近く、問題なく過したことになります。温室内ですから、温度が一定という条件ではありますが、ただの水で何ら問題ないと言えると思います。(ちなみに、梱包時に酸素注入はしていません。あくまでも水中に溶けてる溶存酸素のみです)
 病気が出たり、特殊な状況にならない限りは、何も添加しない方が良いのではないでしょうか?